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建設業許可の営業所技術者等とは?旧「専任技術者」と資格・実務経験を解説

建設業許可の営業所技術者等について資格・実務経験・証明資料を解説する記事のアイキャッチ画像 建設業許可

執筆・監修:行政書士 植松悠一郎
長野県大町市を拠点に、建設業許可申請を取り扱う行政書士

「建設業の経験は長いが、国家資格を持っていない」
「以前の勤務先で働いていた経験を使えるのか分からない」
「請求書は残っているが、契約書がすべてそろっていない」

建設業許可を検討するとき、このような不安を持つ方は少なくありません。

結論からいうと、国家資格を持っていなくても、取得したい業種について必要な実務経験を証明できれば、営業所技術者等の要件を満たせる場合があります。

ただし、「建設業界で10年以上働いた」というだけでは足りません。

  • どの建設業種の工事をしていたのか
  • いつからいつまで経験したのか
  • その経験を契約書や請求書などで証明できるか
  • 現在の営業所に常勤しているか

まで確認する必要があります。

この記事では、建設業許可の営業所技術者等について、資格がない場合の実務経験、前勤務先や個人事業の経験、長野県で確認される証明資料を分かりやすく解説します。

結論|資格がなくても実務経験で認められる場合がある

一般建設業の営業所技術者等になる方法は、主に次のように分かれます。

確認方法主な要件主な証明資料
資格で証明する取得予定業種に対応する国家資格等を持っている合格証明書、免許証、資格者証など
学歴と実務経験で証明する指定学科を卒業し、必要な実務経験がある卒業証明書、実務経験証明書、工事資料
実務経験だけで証明する取得予定業種について原則10年以上の実務経験がある実務経験証明書、契約書、注文書、請求書など
第一次検定合格と実務経験で証明する対応する第一次検定に合格後、所定の実務経験がある合格証明書、実務経験証明書、工事資料

資格がなくても申請できる可能性はありますが、重要なのは、経験年数だけでなく、取得したい業種に対応した経験であることを資料で証明できるかです。

例えば、内装仕上工事を10年間行っていたとしても、その経験だけで管工事や電気工事の営業所技術者等になれるわけではありません。

最初に「何年働いたか」を数えるのではなく、次の順番で確認することが重要です。

  1. どの建設業種の許可を取りたいか
  2. その業種に対応する資格を持っているか
  3. 資格がなければ、どの工事経験を使うか
  4. 経験した工事の資料が何年分残っているか
  5. 現在の営業所で常勤できるか

営業所技術者等とは?旧称は「専任技術者」

営業所技術者等とは、建設工事の見積り、入札、契約締結や履行に関する技術上の管理を担当する人です。

以前は一般に「専任技術者」と呼ばれていましたが、現在は次の名称が使われています。

  • 一般建設業の場合:営業所技術者
  • 特定建設業の場合:特定営業所技術者
  • 両方をまとめた呼び方:営業所技術者等

建設業許可を受けて営業するすべての営業所に、営業所技術者等を置かなければなりません。

営業所技術者等は、その営業所に常勤し、事業者と継続的な雇用・所属関係を持っている必要があります。名義だけを借りることは認められません。

同じ営業所なら複数業種を担当できる場合がある

1人が複数の許可業種の要件を満たしている場合、同じ営業所で複数業種の営業所技術者等を兼ねることができます。

一方で、同じ人が複数の営業所の営業所技術者等を兼ねることはできません。

また、それぞれの要件を満たしていれば、経営業務の管理を担当する常勤役員等と営業所技術者等を同じ人が兼ねることも可能です。

建設業許可の営業所技術者等以外の要件については、次の記事で全体像を解説しています。

建設業許可の要件とは?小規模事業者が最初に確認すべき6つのポイント

現場の主任技術者・監理技術者とは別の制度

営業所技術者等と、工事現場に配置する主任技術者・監理技術者は、役割の異なる制度です。

営業所技術者等は、営業所で請負契約に関する技術上の管理を行います。一方、主任技術者・監理技術者は、工事現場で施工の技術上の管理を担当します。

2024年12月13日からは、情報通信機器の活用、営業所と現場との距離、請負金額、下請次数など一定の要件をすべて満たす場合に、営業所技術者等が専任を必要とする1つの工事現場を兼務できる特例が設けられています。

ただし、自由にどの現場でも兼務できる制度ではありません。

「営業所技術者等になったら一切現場へ出られない」という理解も、「営業所技術者等と主任技術者はいつでも兼任できる」という理解も正確ではないため、実際に現場へ配置する前に条件を確認する必要があります。

参考:
国土交通省「監理技術者等の専任義務の合理化・営業所技術者等の職務の特例」

取得したい業種ごとに要件が異なる

建設業許可は、土木一式工事、建築一式工事、大工工事、電気工事、管工事、内装仕上工事など、29の業種に分かれています。

営業所技術者等の資格や実務経験も、取得したい業種ごとに確認します。

例えば、見積書や請求書に「リフォーム工事」とだけ書かれていても、実際の施工内容によって、次のように該当業種が変わる可能性があります。

  • 間仕切りや床仕上げ:内装仕上工事
  • 給排水設備の施工:管工事
  • 電気配線や照明設備の施工:電気工事
  • 木造部分の造作:大工工事
  • 屋根材の施工:屋根工事

会社内で使っている工事名と、建設業法上の業種区分が一致するとは限りません。

実務経験を確認するときは、請求書の件名だけでなく、見積書の内訳、注文内容、工事台帳などから、実際にどの工事を施工したのかを整理する必要があります。

「建設業を10年以上」だけでは判断できない

営業所技術者等の実務経験で重要なのは、建設業全般の経験年数ではなく、許可を取りたい業種についての経験年数です。

次のような説明だけでは、業種を特定できない可能性があります。

  • 建設会社で10年以上働いていた
  • リフォーム工事を長年行っていた
  • 現場作業を20年以上経験している
  • 住宅工事は何でも行っていた

どの工事を、どの立場で、どの期間行っていたのかを具体的に整理する必要があります。

資格で証明する場合

取得した資格が許可予定業種に対応していれば、実務経験だけで申請する場合と比べて、証明資料を整理しやすくなります。

営業所技術者等の資格として使われるものには、例えば次のようなものがあります。

  • 施工管理技士
  • 建築士
  • 技術士
  • 電気工事士
  • 消防設備士
  • 技能士
  • 登録基幹技能者

ただし、資格を持っているというだけで、すべての建設業種を担当できるわけではありません。

確認が必要なのは、次の点です。

  • 資格の正式名称
  • 1級・2級などの区分
  • 施工管理技士の場合の種目
  • 技能士の場合の職種や作業区分
  • 合格した年度
  • 資格取得後の実務経験が必要か
  • どの許可業種に対応するか

例えば、一部の2級技能検定では、合格後に一定期間の実務経験が必要です。また、解体工事業については、資格の種類や合格年度によって追加の実務経験または講習が必要になる場合があります。

そのため、資格証を確認するときは、「建築関係の資格だから使えるだろう」と判断せず、資格名、等級、合格年度と取得予定業種を公式表で照合します。

長野県へ申請する場合は、資格の合格証明書、免許証または監理技術者資格者証などの写しを提出します。

参考:
長野県「建設業許可を受けるための要件」

学歴・実務経験で証明する場合

一般建設業では、許可を取りたい業種に対応する指定学科を卒業している場合、必要な実務経験年数が短くなることがあります。

主な考え方は次のとおりです。

学歴等必要となる主な実務経験
大学・高等専門学校等の指定学科を卒業卒業後3年以上
高等学校等の指定学科を卒業卒業後5年以上
指定学科卒業等に該当しない原則10年以上
対応する1級第一次検定に合格合格後3年以上
対応する2級第一次検定に合格合格後5年以上

※専修学校専門課程については、専門士・高度専門士の称号の有無などによって必要な実務経験年数が異なるため、個別に確認が必要です。

第一次検定合格による年数短縮は、検定種目と取得予定業種との対応関係を確認する必要があります。また、指定建設業や電気通信工事業など、適用対象外となる場合があります。

学科名だけで自己判断しない

指定学科に該当するかは、単に「工業高校」「建築系」「機械系」という学校の呼び方だけでは判断できません。

例えば、取得したい許可業種に応じて、土木工学、建築学、電気工学、機械工学など、対応する学科が定められています。

卒業証明書や成績証明書に記載された正式な学科名を確認し、取得予定業種との対応を調べます。

長野県では、指定学科と実務経験を使う場合、卒業証明書は原本提出とされています。

実務経験は卒業後または合格後の期間で確認する

指定学科による年数短縮は、原則として卒業後の実務経験を確認します。

第一次検定合格による年数短縮についても、合格後の実務経験が対象です。

卒業前や検定合格前の経験をそのまま所定年数に含められるとは限らないため、卒業日・合格日と各工事の施工期間を並べて確認する必要があります。

前勤務先や個人事業の経験を使う場合

現在の会社だけで必要な経験年数に届かなくても、前勤務先や個人事業主としての経験を合算できる場合があります。

ただし、経験した事実を申請書へ記載するだけでは足りません。

前勤務先での経験を使う場合

前勤務先での実務経験を使う場合、実務経験証明書の証明者は、原則として当時の使用者(勤務先の代表者等)です。使用者の証明を得られない場合は、証明を得られない正当な理由の記載や、追加資料の提出などが必要になることがあります。

さらに、次の内容を確認できる資料を整理します。

  • 前勤務先に在籍していた期間
  • どの業種の工事を行っていたか
  • 工事を行った時期
  • 前勤務先がその工事を実際に請け負っていたこと
  • 必要な年数分の工事資料が残っているか

前勤務先が建設業許可を受けていた場合は、当時の許可内容や工事経歴書などを確認できる場合があります。

許可を受けていなかった会社での経験については、適法に請け負った工事であることを前提に、契約書、注文書、請書、請求書などから工事実績を確認します。

前勤務先が廃業している、連絡が取れない、証明に協力してくれないという場合は、証明の難易度が高くなります。

資料がない状態で経験内容を推測したり、実際と異なる証明書を作成したりすることはできません。前勤務先の協力が得られない可能性がある場合は、申請直前ではなく早めに行政庁または専門家へ確認することが重要です。

個人事業主としての経験を使う場合

個人事業主として行った工事の経験も、営業所技術者等の実務経験として使える場合があります。

ただし、確定申告書だけでは、個人事業を行っていた期間は分かっても、どの建設業種の工事を行っていたかまでは分かりません。

そのため、次の資料を組み合わせて確認します。

  • 工事請負契約書
  • 注文書と請書
  • 見積書
  • 請求書
  • 工事台帳
  • 入金を確認できる通帳等
  • 確定申告書
  • 開業届
  • 工事内容が分かる資料

入金記録は取引の実在性を補う資料になりますが、入金記録だけでは工事内容を証明できません。

反対に、請求書があっても、請求書の件名が「工事代一式」など抽象的な内容では、取得予定業種の工事であることを確認できない可能性があります。

契約書、注文書、請求書、工事台帳、入金記録などの内容が相互に一致しているかを確認します。

実務経験の証明資料と詰まりやすい点

実務経験の証明では、資料を次の3つに分けて考えると整理しやすくなります。

1.誰が経験したか

営業所技術者等になる本人が、その工事に関わっていたことを確認します。

前勤務先での経験であれば、在籍期間、雇用関係、役職などを確認できる資料が必要になることがあります。

2.何の業種を経験したか

契約書、注文書、請求書、工事台帳などから、実際の工事内容を確認します。

「リフォーム」「改修」「設備工事」などの名称だけで業種が分からない場合は、見積書の内訳や注文内容なども確認します。

3.いつ、どのくらい経験したか

実務経験証明書に記載する期間と、工事資料の日付・工期を照合します。

長野県の手引では、工事実績を確認する資料について、原則として1事業年度につき2件以上の提出が案内されています。期間が短い場合や、1年分の確認が難しい場合には、追加資料を求められることがあります。

長野県の手引では、実務経験期間は初月を算入しない「片落とし」で計算します。例えば、3月から6月までの期間は3か月として計算されます。資料がない期間や工事実績を確認できない期間を、単に在籍していたという理由だけで算入できるとは限りません。

長野県で確認される主な資料

確認する内容主な資料
国家資格等合格証明書、免許証、監理技術者資格者証など
指定学科卒業証明書の原本
実務経験様式第9号の実務経験証明書
工事内容・工期工事請負契約書、注文書、請書、請求書、工事台帳
常勤性標準報酬月額決定通知書、住民税特別徴収税額決定通知書、賃金台帳、出勤簿、確定申告書など
取引の補足確認入金記録、見積書など

参考:
長野県「建設業許可申請書類作成の手引 PART2」

実務経験で詰まりやすい例

実務経験の証明で特に注意したいのは、次のようなケースです。

  • 請求書に具体的な工事内容が書かれていない
  • 10年間のうち数年分の資料が残っていない
  • 取得予定業種と過去の工事内容が一致しない
  • 前勤務先から実務経験証明書をもらえない
  • 会社は存在するが、当時の契約資料を処分している
  • 資格の等級や合格年度を誤って判断している
  • 同じ工事資料を複数の業種の経験として重複して使おうとしている
  • 確定申告書だけで工事内容まで証明できると考えている

「10年経験があるか」だけでなく、10年分を途切れなく資料で説明できるかを早い段階で確認してください。

常勤性・営業所との関係にも注意が必要

資格や実務経験の要件を満たしていても、現在の営業所に常勤できなければ、営業所技術者等として認められません。

常勤とは、事業者と継続的な雇用・所属関係があり、休日などを除く通常の勤務時間中、その営業所の業務に従事できる状態をいいます。

次のような場合は、常勤性の確認が必要です。

  • 別会社でも常勤として勤務している
  • 別の営業所の営業所技術者等になっている
  • 遠方に居住し、通常勤務できるか説明が難しい
  • 非常勤役員や短時間勤務である
  • 出向者を営業所技術者等にする
  • 社会保険や給与の記録から常勤関係を確認できない

法人の役員・従業員の場合

長野県では、法人の役員や従業員の常勤性を確認する資料として、主に次のいずれかが案内されています。

  • 健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書
  • 住民税特別徴収税額決定通知書
  • 源泉徴収簿または直近の賃金台帳
  • 役員報酬明細
  • 出勤簿
  • 出向契約書、辞令、給与負担に関する資料

個人事業主の場合

個人事業主本人については、確定申告書の写しなどで事業主であることを確認します。

健康保険証の写しは使えなくなっている

長野県では、2025年12月2日以降の申請について、従来の健康保険証の写しを営業所技術者等の常勤性確認資料として使用できなくなっています。

以前の申請例を参考にして健康保険証だけを用意しても、現在の確認資料としては使えません。最新の手引に記載されている資料を準備してください。

また、許可取得後に営業所技術者等が退職した場合や、常勤できなくなった場合は、許可要件を欠く可能性があります。変更が生じたときは、後任者の確保と届出を速やかに検討する必要があります。

まとめ|業種・資格・期間・資料を順番に確認する

建設業許可の営業所技術者等は、国家資格がなくても、取得したい業種について必要な実務経験を証明できれば要件を満たせる場合があります。

ただし、「職人として長く働いてきた」という事実だけでは申請できません。

次の順番で確認してください。

  1. 取得したい建設業種を決める
  2. 対応する資格を持っているか確認する
  3. 資格がなければ、使える実務経験を整理する
  4. 年度ごとに契約書・注文書・請求書などを集める
  5. 現在の営業所での常勤性を確認する

特に、前勤務先や個人事業時代の経験を使う場合は、過去の資料を集めるだけで時間がかかることがあります。

当事務所では、大町市、北安曇郡の白馬村・小谷村・池田町・松川村、安曇野市周辺の建設業許可に対応しています。

資格証の有無だけでなく、取得したい業種、過去の工事内容、経験期間、手元に残っている契約書や請求書、現在の常勤性を照合し、どの要件を満たせるか、何の資料が不足しているかを整理します。

建設業許可が取れるか分からない方へ

当事務所では、大町市を拠点に、白馬村・安曇野市周辺を地域密着エリアとしながら、長野県内全域の建設業許可に対応しています。

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