「すでに建設業許可を持っているが、別の工事も500万円以上で請け負いたい」
「土木工事業の許可があれば、とび・土工工事もできる?」
「新しい資格を取ったので、許可業種を増やしたい」
すでに建設業許可を持っている事業者が、現在許可を受けていない別の建設業種でも許可を取得する場合に行うのが業種追加です。
この記事の結論
- 建設業許可は、許可を受けた業種ごとに効力があります
- 現在と同じ「一般」「特定」の区分で別業種を追加する場合は業種追加
- 追加する業種についても、営業所技術者等の要件を満たす必要があります
- 1人の営業所技術者等が複数業種の要件を満たせば、同じ営業所で兼任できる場合があります
- 長野県知事許可の業種追加手数料は50,000円
- 1回の申請で複数業種を追加可能
- 長野県知事許可の業種追加の標準処理期間は45日
- 更新時期によっては業種追加+更新として同時申請することもできます
長野県の現在の申請区分・手数料・標準処理期間は、長野県「建設業許可申請の手続き」で確認できます。
- 建設業許可の「業種追加」とは?
- 建設業許可は業種ごとに確認する必要があります
- 「業種追加」になるのは同じ一般・特定区分の場合
- 業種追加でも許可要件の確認が必要です
- 今いる営業所技術者等が追加業種も担当できる場合があります
- 「建設業経験10年」だけでは追加できない場合があります
- 業種追加に必要な費用はいくら?
- 複数の業種を一度に追加できる?
- 業種追加は許可期間の途中でもできます
- 業種追加の審査期間はどのくらい?
- 元請から「この業種も取ってほしい」と言われた場合
- 更新と業種追加を同時に申請できる?
- 更新時期まで業種追加を待つべき?
- 業種追加前に決算変更届や変更届も確認する
- 業種追加の申請方法
- 業種追加を検討するときの流れ
- 業種追加前チェックリスト
- まとめ|業種追加は「工事内容」と「技術者要件」から確認
建設業許可の「業種追加」とは?
建設業許可は、
「建設業許可を1つ持っていれば、すべての建設工事を自由に請け負える」
という制度ではありません。
建設工事は業種ごとに区分されており、許可が必要な規模の工事を請け負う場合は、原則としてその工事に対応した建設業種の許可が必要です。
例えば、すでに「建築工事業」の許可を持っている会社が、新たに「内装仕上工事業」の許可を取得したい場合などに業種追加を検討します。
業種追加のイメージ
現在
一般建設業
→ 建築工事業
↓
新たに内装仕上工事業も取りたい
↓
業種追加申請
↓
一般建設業
→ 建築工事業
→ 内装仕上工事業
という流れです。
建設業許可は業種ごとに確認する必要があります
建設業許可についてよくある誤解が、
「似た工事の許可を持っているから、その周辺工事も全部できる」
というものです。
しかし、建設業法では工事内容ごとに建設業種が分かれています。
例えば、
- 土木工事業
- 建築工事業
- 大工工事業
- 左官工事業
- とび・土工工事業
- 電気工事業
- 管工事業
- 塗装工事業
- 防水工事業
- 内装仕上工事業
- 解体工事業
などがあります。
したがって、新しい種類の工事を受注するようになった場合は、
現在持っている許可業種でその工事を請け負えるのか
それとも別業種の許可追加が必要なのか
を最初に確認する必要があります。
そもそも建設業許可が必要となる工事の基準については、既存の建設業許可記事群とあわせて確認してください。
「業種追加」になるのは同じ一般・特定区分の場合
長野県では、業種追加を次のように整理しています。
一般建設業の場合
すでに一般建設業の許可を持っている事業者が、
別の業種について一般建設業の許可を取る
場合です。
特定建設業の場合
すでに特定建設業の許可を持っている事業者が、
別の業種について特定建設業の許可を取る
場合です。
一方、
一般建設業しか持っていない事業者が、新たに特定建設業の許可を取る
場合は、単純な「業種追加」ではありません。
この場合は般・特新規という別の申請区分が関係します。
違いを整理すると
| 現在 | 新たに取得したい許可 | 基本的な申請区分 |
|---|---|---|
| 一般・建築 | 一般・内装 | 業種追加 |
| 一般・土木 | 一般・舗装 | 業種追加 |
| 特定・建築 | 特定・内装 | 業種追加 |
| 一般のみ | 新たに特定許可 | 般・特新規を検討 |
注意
「許可業種を増やす=すべて業種追加」ではありません。
一般建設業と特定建設業の区分も確認する必要があります。
業種追加でも許可要件の確認が必要です
すでに建設業許可を持っているからといって、希望する業種を自由に追加できるわけではありません。
追加する業種について、建設業許可の要件を満たしている必要があります。
特に重要になるのが営業所技術者等です。
営業所技術者等とは、許可を受けて建設業を営む営業所に置く必要がある技術者です。
一般建設業では、主に、
- 対応する国家資格等
- 指定学科卒業+一定の実務経験
- 原則10年以上の実務経験
などによって要件を確認します。
詳しくは、
建設業許可の営業所技術者等とは?資格なし・実務経験も解説
をご覧ください。
長野県の現在の要件については、長野県「建設業許可を受けるための要件」でも確認できます。
今いる営業所技術者等が追加業種も担当できる場合があります
業種を追加するからといって、必ず新しい技術者を雇わなければならないわけではありません。
現在の営業所技術者等が、追加したい業種についても資格・実務経験の要件を満たしている場合は、同じ営業所で複数業種を担当できることがあります。
例えば、
現在の営業所技術者
↓
資格Aで「土木工事業」の要件を充足
+
資格・経験により「とび・土工工事業」の要件も充足
という場合には、同じ人が複数業種を担当できる可能性があります。
長野県も、1人の技術者が複数業種の要件を満たす場合、同じ営業所で複数業種の営業所技術者等を兼ねることができると案内しています。
業種追加前の重要確認
まず「人を増やす必要があるか」を考えるのではなく、
現在の営業所技術者等の資格・実務経験で、追加希望業種まで担当できるか
を確認します。
「建設業経験10年」だけでは追加できない場合があります
資格を使わず、実務経験によって営業所技術者等の要件を満たそうとする場合は特に注意が必要です。
例えば、
内装工事を10年以上していた
からといって、その経験をそのまま、
- 電気工事業
- 管工事業
- 塗装工事業
など別の業種に使えるわけではありません。
重要なのは、
何の工事について実務経験があるか
です。
さらに、経験年数だけでなく、その経験を、
- 契約書
- 注文書
- 請書
- 請求書
- 入金資料
- 過去の建設業許可資料
などで証明できるかも問題になります。
そのため業種追加では、
追加したい業種を決める
↓
対応する資格を確認
↓
資格がなければ
↓
実務経験を確認
↓
経験を証明できる資料を確認
という順番で進めます。
業種追加に必要な費用はいくら?
2026年8月現在、長野県知事許可の業種追加申請手数料は50,000円です。
| 申請区分 | 長野県への手数料 |
|---|---|
| 業種追加 | 50,000円 |
| 更新 | 50,000円 |
| 業種追加+更新 | 100,000円 |
長野県では、一般建設業と特定建設業の申請手数料は別々に計算します。
例えば、一般建設業と特定建設業についてそれぞれ業種追加をする場合は、
50,000円+50,000円=100,000円
となります。
また、行政書士へ依頼する場合は、行政庁への申請手数料とは別に行政書士報酬が必要です。
行政書士植松悠一郎事務所では、業種追加の報酬を**66,000円~**としています。
詳細は料金案内をご確認ください。
複数の業種を一度に追加できる?
できます。
長野県では、1回の業種追加申請で複数の建設業種を申請することができます。
例えば、
現在
→ 建築工事業
新たに
→ 大工工事業
→ 内装仕上工事業
→ 屋根工事業
について必要な要件を満たしているのであれば、1回の申請で複数業種を追加することができます。
この場合、同じ一般建設業の業種追加として1回の申請を行うのであれば、業種ごとに5万円ずつ手数料が加算される制度ではありません。
ポイント
追加したい業種が複数ある場合は、
今必要な1業種だけではなく、現在の資格・経験で取得可能な関連業種も一度確認する
価値があります。
ただし、必要のない許可業種までむやみに増やす必要はありません。
今後実際に請け負う予定の工事と、営業所技術者等の要件を踏まえて判断します。
業種追加は許可期間の途中でもできます
業種追加は、現在の許可の更新時期まで待つ必要はありません。
長野県は、すでに許可を受けている建設業について、業種追加は有効期間の途中でも申請できると案内しています。
例えば、
現在の許可期限
→ 3年後
しかし、新しい業種の工事を
→ 3か月後に請け負いたい
という場合、
更新まで3年間待つ必要はありません。
必要な要件を満たしていれば、途中で業種追加申請を行います。
業種追加の審査期間はどのくらい?
長野県知事許可の場合、業種追加の標準処理期間は45日です。
これは申請を受理してから許可処分までの標準的な期間です。
45日前に準備を始めればよい、という意味ではありません。
申請前に、
- 追加する業種の判断
- 営業所技術者等の資格確認
- 実務経験の確認
- 証明資料の収集
- 必要書類の作成
が必要です。
特に実務経験で要件を満たす場合は、過去資料の確認に時間がかかることがあります。
建設業許可の取得にかかる期間については、
建設業許可を取得するまでの流れ|申請準備・審査期間を解説
もご覧ください。
元請から「この業種も取ってほしい」と言われた場合
業種追加の相談で多いのが、
元請会社や取引先から、別業種の建設業許可を求められた
というケースです。
この場合、まず確認したいのは、
- どの工事を請け負う予定なのか
- 請負金額はいくらか
- 元請が具体的にどの許可業種を求めているのか
- いつまでに許可が必要なのか
- 現在持っている許可業種は何か
- 新しい業種の要件を満たせるか
です。
単に、
「取引先から業種追加と言われたから、その名前で申請する」
のではなく、実際の工事内容と許可業種が一致しているか確認します。
更新と業種追加を同時に申請できる?
長野県には、申請区分として**「業種追加+更新」**があります。
現在持っている許可の更新時期と、新しい業種を追加したい時期が近い場合には、同時申請を検討できます。
別々に申請
業種追加
↓
新しい許可年月日
既存業種
↓
従来の許可年月日
となり、許可年月日が異なる状態になる場合があります。
業種追加+更新
業種追加と既存許可の更新を組み合わせることで、許可の有効期間を整理できる場合があります。
ただし、申請時期や現在の許可状況によって取扱いが変わるため、更新期限が近い場合は業種追加を単独で出す前に確認する方がよいでしょう。
また、業種追加+更新の場合の長野県への手数料は、
業種追加50,000円+更新50,000円=100,000円
です。
更新時期まで業種追加を待つべき?
必ずしも待つ必要はありません。
判断基準は、いつその業種の許可が必要になるかです。
更新まで時間がある
新しい許可業種が早く必要
→ 業種追加を先に申請
更新時期が近い
新しい業種の許可も必要
→ 業種追加+更新を検討
という考え方になります。
許可が必要になる工事の予定日から逆算することが重要です。
更新そのものについては、長野県の許可を受けた後の手続きで最新の取扱いを確認できます。
業種追加前に決算変更届や変更届も確認する
業種追加をするときは、追加したい業種の要件だけでなく、現在の建設業許可の状態も確認しておく方が安全です。
例えば、
- 決算変更届を提出していない
- 役員変更を届けていない
- 本店所在地が変わっている
- 営業所が変わっている
- 営業所技術者等が変わっている
といった状態がないか確認します。
特に、その後すぐ更新時期を迎える場合は、未提出の決算変更届等が更新手続きに影響します。
建設業許可は、
新規取得
↓
毎年の決算変更届
↓
変更があれば変更届
↓
必要に応じて業種追加
↓
5年ごとに更新
という継続管理が必要な許可です。
業種追加の申請方法
長野県知事許可では、業種追加について、
- 書面による郵送申請
- JCIPによる電子申請
が利用できます。
書面申請の場合、現在は長野県庁建設政策課建設業担当へ郵送します。
各建設事務所で申請書を受け付ける運用ではありません。
また、2026年4月1日からは、書面申請でも「ながの電子申請サービス」を利用した手数料の電子納付が可能になっています。
申請先・JCIP・必要書類については、
長野県の建設業許可|申請先・手数料・必要書類・電子申請を解説
で詳しく解説しています。
業種追加を検討するときの流れ
1.新たに請け負う工事を確認する
工事名ではなく、実際の施工内容を確認します。
2.必要な許可業種を確認する
現在持っている許可で対応できるのか、新しい業種が必要なのかを判断します。
3.一般・特定の区分を確認する
単純な業種追加なのか、般・特新規等の別区分になるのか確認します。
4.営業所技術者等を確認する
追加業種を担当できる人がいるか確認します。
5.資格・実務経験の証明資料を確認する
資格証や過去の工事資料をそろえます。
6.更新時期を確認する
業種追加単独で申請するのか、更新と組み合わせるのか検討します。
7.申請する
長野県知事許可の場合、標準処理期間は45日です。
業種追加前チェックリスト
- 現在持っている許可業種を確認した
- 新たに行う工事内容を確認した
- 追加すべき許可業種を確認した
- 一般・特定の区分を確認した
- 営業所技術者等の候補を確認した
- 対応する資格を確認した
- 実務経験を使う場合は経験年数を確認した
- 実務経験の証明資料を確認した
- 複数業種を同時に追加できないか確認した
- 現在の許可更新日を確認した
- 更新との同時申請を検討した
- 決算変更届・各種変更届の提出状況を確認した
- 新しい許可が必要となる工事の時期を確認した
最初に確認するのは申請書ではありません。
**「何の業種が必要か」と「その業種の技術者要件を満たせるか」**を先に確認することが重要です。
まとめ|業種追加は「工事内容」と「技術者要件」から確認
建設業許可の業種追加について整理すると、次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 現在と同じ一般・特定区分で別業種を追加 |
| 申請時期 | 許可期間の途中でも可能 |
| 複数業種 | 1回の申請で追加可能 |
| 長野県知事許可の手数料 | 50,000円 |
| 標準処理期間 | 45日 |
| 技術者要件 | 追加業種について営業所技術者等の要件が必要 |
| 1人で複数業種 | 各業種の要件を満たせば同じ営業所で可能 |
| 更新との同時申請 | 可能 |
| 業種追加+更新手数料 | 100,000円 |
業種追加で特に重要なのは、
「今持っている建設業許可で何ができるか」
と
「これから請け負いたい工事には何の許可が必要か」
を正しく対応させることです。
そのうえで、追加したい業種について営業所技術者等の要件を満たせるか確認します。
建設業許可全体の要件については、
建設業許可の要件とは?小規模事業者が最初に確認すべき6つのポイント
をご覧ください。
営業所技術者等については、
建設業許可の営業所技術者等とは?資格なし・実務経験も解説
で詳しく解説しています。
行政書士植松悠一郎事務所では、大町市を拠点に、長野県全域の建設業許可の業種追加、新規申請、更新、変更届などに対応しています。
業種追加の行政書士報酬は**66,000円~**です。
詳細は料金案内をご確認ください。
「新しく受注する工事に何の許可が必要か分からない」
「今いる技術者の資格でどこまで業種を増やせるか確認したい」
「更新と業種追加を一緒にした方がよいか知りたい」
といった段階でもご相談いただけます。
ご相談はお問い合わせフォームから受け付けています。