執筆・監修:行政書士 植松悠一郎
長野県大町市を拠点に、建設業許可申請を取り扱う行政書士
「元請から建設業許可を取るように言われたけれど、いつまでに申請すれば間に合うのか」
「建設業許可は45日くらいで取れると聞いたけれど、本当にそれだけで取得できるのか」
このような疑問を持つ方もいると思います。
結論からいうと、建設業許可を取得するまでの期間は、申請前の準備期間と、申請後の行政庁による審査期間を分けて考える必要があります。
長野県知事許可の場合、新規、許可換え新規、般・特新規、業種追加の標準処理期間は45日とされています。
ただし、この45日には、許可要件の確認、過去の証明資料の収集、申請書の作成など、申請前の準備期間は含まれていません。
また、申請内容に不備があり補正が必要な場合は、標準処理期間より長くなることがあります。
そのため、特に元請から期限を示されている場合は、「45日前に申請すれば大丈夫」と考えるのではなく、現在の要件と手元の資料を確認したうえで、申請準備から逆算することが重要です。
結論|取得までの期間は「申請前の準備+申請後の審査」で考える
建設業許可を取得するまでの流れは、大きく次のように分けられます。
【申請前の準備】
1.工事内容・取得する許可業種を確認する
↓
2.許可要件を確認する
↓
3.証明資料を集める
↓
4.申請書を作成して提出する
【申請後】
5.行政庁の審査・補正に対応する
↓
6.許可通知を受ける
長野県知事許可の新規申請等で公表されている45日という期間は、主に後半の「申請後」の行政庁側の標準的な処理期間です。
したがって、
申請前の準備期間+申請後の標準処理期間
という2段階で考える必要があります。
申請前の準備にどれくらいかかるかは、事業者によって大きく異なります。
すでに資格証や過去の契約書、確定申告書などが整理されている場合と、過去の工事資料を探す必要がある場合では、申請までに必要な作業が異なるためです。
建設業許可を取得するまでの全体の流れ
初めて建設業許可を取得する場合は、いきなり申請書を作成するのではなく、次の順番で確認すると進めやすくなります。
ステップ1 工事内容と取得する許可業種を確認
ステップ2 建設業許可の要件を確認
ステップ3 要件を証明する資料を収集
ステップ4 申請書を作成して提出
ステップ5 行政庁の審査・補正に対応
ステップ6 許可通知を受け、許可後の管理を開始
特に時間がかかりやすいのは、申請書そのものを書く作業よりも、自社が許可要件を満たしているかを確認し、その事実を証明できる資料をそろえる作業です。
それぞれのステップを見ていきます。
ステップ1|工事内容と取得する業種を確認する
最初に確認するのは、「どの建設業許可を取るのか」です。
建設業許可には29の業種があり、実際に請け負う工事内容に対応した業種の許可を取得する必要があります。
例えば、単に「リフォーム工事をしている」というだけでは、必要な業種が一つに決まるとは限りません。
実際の工事内容によって、
・建築一式工事
・大工工事
・内装仕上工事
・管工事
・電気工事
など、検討する業種が変わります。
また、営業所の所在地によって知事許可か大臣許可かを確認し、下請へ発注する工事の規模などによって一般建設業か特定建設業かも確認します。
ここを曖昧にしたまま申請準備を進めると、後から必要な資格や実務経験、証明資料が変わる可能性があります。
まずは、今後受けたい工事や現在行っている工事の見積書、契約書などを確認し、取得する許可業種を整理するところから始めます。
ステップ2|建設業許可の要件を確認する
取得する業種を整理したら、次に許可要件を確認します。
建設業許可では、主に次のような事項を確認します。
・適正な経営体制があるか
・営業所技術者等の要件を満たしているか
・財産的基礎があるか
・誠実性や欠格要件に問題がないか
・建設業を営む営業所の実態があるか
・社会保険等について必要な届出をしているか
重要なのは、「自分では要件を満たしていると思う」ということだけではなく、申請時にその内容を確認できる資料があるかという点です。
例えば、建設業を長年経営していても、その期間を確認できる確定申告書や登記、工事資料が不足していれば、証明方法を検討する必要があります。
許可要件全体については、「建設業許可の要件とは?小規模事業者が最初に確認すべき6つのポイント」で詳しく解説しています。
ステップ3|証明資料を集める
許可要件を確認したら、それぞれの要件を証明するための資料を集めます。
申請前の準備期間に差が出やすいのが、この段階です。
例えば、経営経験を確認する場合には、
・確定申告書
・登記事項証明書
・工事請負契約書
・注文書・請書
・請求書
・見積書
・工事台帳
など、過去の資料を確認することがあります。
営業所技術者等について実務経験を使う場合も、対象となる業種の工事に携わっていたことを確認できる資料が必要になる場合があります。
資料が整理されていれば確認は進めやすくなりますが、
「5年以上建設業をしているが、昔の契約書が見つからない」
「個人事業から法人化しており、途中で事業形態が変わっている」
「前に勤めていた会社での経験を使いたい」
といった場合は、どの期間をどの資料で証明するかを先に整理する必要があります。
また、会社設立や社会保険等の手続が必要な場合、過去の届出状況に問題がある場合などは、それらの対応を先に進めることもあります。
経営経験の証明で使用する資料については、「建設業許可で必要な経営経験とは?個人事業主・一人親方の場合も解説」で詳しく解説しています。
ステップ4|申請書を作成して提出する
要件と証明資料が確認できたら、申請内容を申請書へ反映します。
申請書には、例えば、
・取得する建設業の種類
・営業所
・常勤役員等
・営業所技術者等
・役員
・工事経歴
・財務内容
など、さまざまな情報を記載します。
長野県では、建設業許可申請について、書面による申請と、建設業許可・経営事項審査電子申請システム(JCIP)による電子申請が利用できます。
具体的な提出方法や必要書類については、申請時点の長野県の案内を確認する必要があります。
ステップ5|審査と補正に対応する
申請後は、行政庁による審査が行われます。
申請書や確認資料に不足がある場合や、記載内容について確認が必要な場合には、追加資料の提出や修正などの補正を求められることがあります。
長野県は、申請に不備があり補正が必要な場合には、公表されている標準処理期間より長い期間を必要とすると案内しています。
そのため、
「申請書を提出したから、45日後には必ず許可される」
というわけではありません。
申請前の段階で、
・要件を満たしているか
・使用する証明資料がそろっているか
・申請内容と資料に矛盾がないか
を確認しておくことが重要です。
ステップ6|許可通知を受け、許可後の管理を始める
審査の結果、許可となった場合は、許可通知を受けます。
ただし、建設業許可は取得して終わりではありません。
許可取得後も、
・毎事業年度終了後の決算変更届
・役員や所在地、営業所技術者等などに変更があった場合の変更届
・5年ごとの更新申請
など、必要な手続があります。
許可を取った後も、変更事項や提出期限を管理していく必要があります。
建設業許可はどれくらいで取れる?長野県の標準処理期間
長野県が公表している長野県知事許可の標準処理期間は、次のとおりです。
| 申請区分 | 標準処理期間 |
|---|---|
| 新規 | 45日 |
| 許可換え新規 | 45日 |
| 般・特新規 | 45日 |
| 業種追加 | 45日 |
| 更新 | 30日 |
ここで最も注意したいのは、45日が建設業許可取得までの総期間ではないという点です。
許可を初めて取得する場合は、申請前に、
・取得する業種の確認
・許可要件の確認
・経営経験等の確認
・資格・実務経験の確認
・過去の証明資料の収集
・申請書の作成
などを行う必要があります。
この準備期間は、標準処理期間には含まれていません。
また、申請後に補正が必要となれば、45日を超える場合もあります。
したがって、
「準備に○日+審査45日=必ず○日で取れる」
という一律の計算はできません。
申請準備に必要な期間は、現在の要件や手元に残っている資料によって判断する必要があります。
申請前の準備に時間がかかりやすいケース
次のような場合は、申請書を作成する前の確認に作業が必要になることがあります。
過去の経営経験を資料で確認する必要がある
個人事業主として長く営業していても、確定申告書や過去の工事資料を年度ごとに確認する必要があります。
実務経験を使って営業所技術者等の要件を満たす
資格だけで要件を確認できる場合と比べ、どの工事に何年間携わったかを資料から確認する作業が必要になります。
個人事業と法人の経験が混在している
個人事業主としての期間と法人役員としての期間を組み合わせる場合は、それぞれの立場と建設業の実態を確認します。
先に別の手続が必要になる
会社設立、社会保険等の手続、過去の届出の整理などを先に行う必要がある場合があります。
つまり、許可取得を急いでいる場合ほど、最初に申請書を書くのではなく、どこまで要件を満たしていて、何の資料が不足しているのかを確認することが重要です。
急ぎで許可が必要な場合に最初に確認すること
元請から「○月までに許可を取ってほしい」と言われている場合などは、まず次の4点を確認してください。
1.元請等から示されている期限
「いつまでに許可が必要なのか」を具体的な日付で確認します。
単に「早く取ってほしい」と言われている場合も、実際に必要となる時期を確認してください。
2.許可が必要な工事の請負予定
許可が必要となる工事を予定している場合は、工事の着工時期だけでなく、いつ請負契約を予定しているのかも確認します。
「工事開始まで時間があるから大丈夫」と考えず、実際の契約や取引の予定から逆算することが重要です。
3.工事の予定日
請負予定とあわせて、実際の工事予定も確認します。
元請との取引条件として、契約時や現場への入場時までに許可を求められている場合もあるため、相手方が求めている条件も確認しておく必要があります。
4.現在手元にある証明資料
例えば、
・確定申告書
・登記事項証明書
・過去の契約書
・注文書・請書
・請求書
・見積書
・資格証
など、現在残っている資料を確認します。
許可を急いでいる場合は、「何年建設業をやってきたか」だけでなく、その経験を今ある資料でどこまで証明できるかを早い段階で確認することが重要です。
申請にかかる費用についても事前に確認しておきたい方は、「長野県の建設業許可費用はいくら?申請手数料・行政書士報酬を解説」をご確認ください。
まとめ|期限がある場合は申請前の準備から逆算する
建設業許可を取得するまでの流れは、
1.工事内容と取得する業種を確認する
2.許可要件を確認する
3.証明資料を集める
4.申請書を作成して提出する
5.審査と補正に対応する
6.許可通知を受ける
という順番で進みます。
長野県知事許可では、新規、許可換え新規、般・特新規、業種追加の標準処理期間は45日、更新は30日です。
ただし、この期間とは別に、申請前の準備が必要です。
特に、
・過去の経営経験を資料で証明する必要がある
・実務経験を使って許可を取る
・昔の契約書や請求書を探す必要がある
・個人事業と法人の経験が混在している
・先に別の手続が必要になる
といった場合は、申請前の確認に作業が必要になります。
元請から許可取得を求められている期限や工事予定がある場合は、申請後の45日だけを見るのではなく、現在の要件と証明資料から、申請準備に必要な作業を先に整理することが重要です。
相談する際には、
・元請等から示されている期限
・請負契約の予定
・工事予定日
・現在手元にある証明資料
が分かると、許可取得に向けて何から確認すべきかを整理しやすくなります。
建設業許可が取れるか分からない方へ
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