設備投資や業務効率化を考えている中小企業では、「経営力向上計画」の認定を受けることで、税制や金融支援を利用できる場合があります。
特に、中小企業経営強化税制を利用して設備投資を行う場合は、設備を購入してから制度を調べるのでは遅いことがあります。
この記事の結論
経営力向上計画は、自社の生産性や経営力を向上させる取組を3~5年間の計画として作成し、国の認定を受ける制度です。
認定によって、
- 中小企業経営強化税制
- 日本政策金融公庫等の金融支援
- 一部の法的支援
を利用できる場合があります。
設備投資で税制措置を利用する場合は、設備の発注・取得前から手続の順序を確認することが重要です。
経営力向上計画を利用した設備投資を検討している方へ
行政書士植松悠一郎事務所では、事業内容や導入予定設備を確認し、経営力向上計画の対象になるか、どのような準備が必要かを整理します。
初回相談は無料です。
経営力向上計画とは?
経営力向上計画は、中小企業等が、
- 設備投資
- IT化
- 人材育成
- コスト管理
- 業務効率化
などによって自社の経営力を向上させる計画を作成し、国の認定を受ける制度です。
補助金そのものではありません。
認定された計画に基づいて一定の設備投資等を行うことで、税制・金融等の支援措置を利用できる場合がある制度です。
計画期間は原則として3年・4年・5年のいずれかを設定します。
認定を受けるとどんなメリットがある?
主な支援措置は次のとおりです。
| 支援 | 主な内容 |
|---|---|
| 税制措置 | 一定の設備について即時償却や税額控除を受けられる場合がある |
| 金融支援 | 日本政策金融公庫の融資等を利用できる場合がある |
| 法的支援 | 事業承継等に関する一部の特例を利用できる場合がある |
実際には、設備投資に伴う中小企業経営強化税制を目的として経営力向上計画を検討するケースが多くあります。
ただし、
「経営力向上計画が認定された=必ず税制優遇を受けられる」
という意味ではありません。
認定要件と税制措置の適用要件は別に確認する必要があります。
中小企業経営強化税制とは?
経営力向上計画の認定を受け、一定の要件を満たす設備を取得した場合、即時償却または税額控除を選択できる場合があります。
2026年10月現在の制度では、主に次の類型があります。
| 類型 | 主な対象 |
|---|---|
| A類型 | 生産性向上設備 |
| B類型 | 収益力強化設備 |
| D類型 | 経営資源集約化に資する設備 |
| E類型 | 経営規模拡大設備 |
以前存在したC類型(デジタル化設備)は2025年度税制改正で廃止されています。
古い記事や資料ではA・B・C・D類型と説明されている場合があるため注意が必要です。
A類型
工業会等の証明を受けた、生産性向上に資する設備が対象です。
代表的な要件の一つが、旧モデルと比較して生産性が年平均1%以上向上する設備であることです。
B類型
設備単体ではなく、投資計画全体について確認します。
現在は、年平均の投資利益率7%以上が見込まれる投資計画などが対象になります。
D・E類型
D類型はM&A等による経営資源集約化、E類型は売上高100億円超を目指す一定の企業による大規模な設備投資等を対象とする制度です。
一般的な設備更新であれば、まずA類型またはB類型に該当するかを確認することになります。
税制を使う場合は「設備を買う前」の確認が重要
経営力向上計画で最も注意したいのが、設備を取得する時期です。
原則は、
必要な証明・確認を取得
↓
経営力向上計画を申請
↓
認定
↓
設備取得
という順番です。
特に、A類型の工業会証明書やB類型等の経済産業局の確認については、設備取得との前後関係に注意が必要です。
一部には、経営力向上計画の申請前に設備を取得した場合の「60日ルール」と呼ばれる例外がありますが、対象となる類型や条件が限定されています。
設備購入後に制度を調べるのではなく、購入・発注を決める段階で確認するのが安全です。
中小企業庁「中小企業等経営強化法に基づく支援措置活用の手引き」
中小企業経営強化税制はいつまで?
現行の中小企業経営強化税制は、令和7年度税制改正によって延長され、2026年度末(2027年3月31日)までとなっています。
ただし、設備を2027年3月31日までに購入すれば自動的に対象になるわけではありません。
設備、事業者、取得時期、計画認定など、それぞれの要件を満たす必要があります。
設備投資を予定している場合は、期限から逆算して準備します。
誰でも申請できる?
経営力向上計画の認定対象となる「特定事業者等」は、会社・個人事業主等について、原則として常時使用する従業員数2,000人以下が対象です。
ただし、ここでも注意が必要です。
経営力向上計画の認定対象者と、各税制措置の対象となる中小企業者等の範囲は同じではありません。
そのため、
- 経営力向上計画の認定対象になるか
- 利用したい税制・金融支援の対象になるか
を別々に確認します。
経営力向上計画には何を書く?
主に、
- 自社の現状
- 経営上の課題
- 経営力を向上させる具体的な取組
- 設備投資等の内容
- 計画期間
- 経営指標と目標
を記載します。
計画期間は3~5年間です。
労働生産性については、事業分野等に応じた指針に沿って目標を設定します。
単に、
「新しい機械を購入して生産性を上げる」
だけではなく、
現在どのような課題があり、その設備や取組によって何を改善し、どのように経営力を向上させるのか
を計画として整理します。
申請の流れ
基本的な流れは次のとおりです。
1.利用したい支援措置を確認する
↓
2.事業分野と申請先を確認する
↓
3.必要な証明書・確認書を準備する
↓
4.経営力向上計画を作成する
↓
5.主務大臣へ申請する
↓
6.認定を受ける
↓
7.認定計画に沿って設備投資等を実施する
電子申請にはGビズIDプライムが必要です。
経済産業部局のみを申請先とする電子申請では、申請内容に不備がないなど一定の条件を満たす場合、標準処理期間は約14日とされています。
紙申請の標準処理期間は30日です。
そのため、設備取得日から逆算して申請時期を決める必要があります。
経営力向上計画は自分でも申請できる?
自社で申請することも可能です。
特に、
- 活用する制度が決まっている
- 設備の要件が確認できている
- 計画書を自社で作成できる
- 申請時期に余裕がある
場合は、自社申請も選択肢になります。
一方、
- どの類型を使えるか分からない
- 設備取得まで時間がない
- 工業会証明書等の手続が分からない
- 計画書の作成に時間を割けない
- 税制措置の手続順序を間違えたくない
場合は、事前に専門家へ確認する方法があります。
行政書士へ依頼する場合の料金
行政書士植松悠一郎事務所では、経営力向上計画の申請・事業計画書作成についてご相談いただけます。
現在、経営力向上計画について一律の固定報酬額は設定しておらず、
- 設備投資の有無
- 利用する支援措置
- 必要となる証明・確認
- 計画書の作成範囲
などを確認したうえで、正式なご依頼前に個別にお見積りします。
初回相談は無料です。
設備投資を予定している場合は、購入前に確認してください
経営力向上計画は、認定を取ること自体が目的ではありません。
どの支援措置を使いたいのかを先に決め、その支援を受けられる手順で計画を進めることが重要です。
特に中小企業経営強化税制を利用する場合は、
設備を購入してから相談するのではなく、購入前の段階で確認する
ことをおすすめします。
行政書士植松悠一郎事務所では、
- 経営力向上計画を使えるか確認したい
- 導入予定の設備で税制措置を検討している
- 工業会証明書等を含めた手続の流れを確認したい
- 計画書の作成・申請を依頼したい
という段階からご相談いただけます。
初回相談は無料です。

