会社を設立するとき、最初に迷いやすいのが、
「株式会社と合同会社のどちらにするか」
です。
どちらも法人であり、出資者は原則として出資額の範囲で責任を負いますが、設立費用、会社の運営方法、出資者と経営者の関係などに違いがあります。
この記事の結論
小規模な事業を少人数で始め、設立費用や運営負担を抑えたい場合は、合同会社が合うことがあります。
一方、
- 将来、外部から出資を受けたい
- 株式を使った資本政策を考えている
- 株主と経営者を分けた会社運営を予定している
といった場合は、株式会社を検討する方が制度上は整理しやすくなります。
「株式会社の方が上」「合同会社の方が得」と一律に決めるのではなく、今後どのように会社を運営する予定かで選ぶことが重要です。
株式会社と合同会社のどちらにするか迷っている方へ
行政書士植松悠一郎事務所では、予定している事業や出資者、会社の運営方法などを確認し、株式会社・合同会社のどちらが適しているかという段階から整理します。
初回相談は30分まで無料です。
株式会社と合同会社の違いをまず比較
主な違いを整理すると、次のとおりです。
| 項目 | 株式会社 | 合同会社 |
|---|---|---|
| 出資者 | 株主 | 社員 |
| 出資者の責任 | 原則、出資額まで | 原則、出資額まで |
| 定款認証 | 必要 | 不要 |
| 設立登記の登録免許税 | 最低15万円 | 最低6万円 |
| 経営 | 株主と取締役を分けられる | 原則として社員が業務執行 |
| 所有権の移転 | 株式を譲渡 | 持分を譲渡 |
| 役員任期 | 取締役は原則2年。一定の非公開会社では最長10年 | 株式会社の取締役のような法定任期なし |
| 決算公告 | 必要 | 原則不要 |
| 利益配分 | 原則として株式数等に応じる | 定款で柔軟に定められる |
株式会社と合同会社は、どちらも1人から設立できます。
また、どちらも資本金1円から設立すること自体は可能です。
ただし、実際の資本金額は、事業開始後の運転資金、取引先、融資、許認可なども踏まえて決める必要があります。
設立費用は合同会社の方が低い
会社設立時に大きく違うのが、登録免許税と定款認証です。
株式会社
株式会社の設立登記にかかる登録免許税は、
資本金×0.7%
で、これが15万円未満の場合は15万円です。
さらに、株式会社では公証人による定款認証が必要です。
2026年現在の定款認証手数料は、原則として、
- 資本金100万円未満:3万円
- 資本金100万円以上300万円未満:4万円
- それ以外:5万円
です。
ただし、資本金100万円未満で、
- 発起人全員が個人で3人以下
- 発起設立
- 取締役会を置かない
などの条件をすべて満たす場合は、1万5,000円となります。
合同会社
合同会社の設立登記にかかる登録免許税は、
資本金×0.7%
で、これが6万円未満の場合は6万円です。
また、合同会社では公証人による定款認証は必要ありません。
そのため、同じ規模で会社を作る場合、設立時の法定費用は合同会社の方が低くなるのが一般的です。
紙の定款と電子定款
株式会社・合同会社のいずれも、紙で作成する設立時の定款原本は、原則として4万円の印紙税の対象になります。
一方、電子定款ではこの4万円の印紙税はかかりません。
株式会社は「株主」と「経営者」を分けられる
株式会社では、
出資する人=株主
経営する人=取締役
として、所有と経営を分けることができます。
例えば、
- 出資はするが経営には参加しない人
- 外部の投資家
- 複数の株主
- 経営を担当する取締役
という構成にできます。
将来的に外部から出資を受けたり、株式を使った資本政策を行ったりする予定がある場合は、株式会社の仕組みを検討する意味があります。
ただし、小規模な株式会社であれば、株主1人・取締役1人という形でも設立できます。
合同会社は出資者が経営するのが基本
合同会社では、出資者を「社員」と呼びます。
ここでいう社員は、従業員という意味ではなく、会社への出資者です。
合同会社では原則として社員自身が業務を執行します。
例えば、
1人で出資
↓
その人が代表社員
↓
そのまま会社を経営
というシンプルな形にできます。
複数の社員がいる場合も、定款によって業務執行社員や代表社員を定めることができます。
そのため、
- 1人で会社を経営する
- 家族や少人数で会社を運営する
- 外部投資家を多数入れる予定がない
という事業では、合同会社の仕組みが合う場合があります。
合同会社は利益配分を柔軟に決められる
株式会社では、基本的に株式数などに応じて株主の権利が決まります。
一方、合同会社では、利益の配分について定款で比較的柔軟に設計できます。
例えば、
Aさんの出資額:700万円
Bさんの出資額:300万円
であっても、定款の定め方によって、単純に7対3ではない利益配分とすることも可能です。
複数人で会社を設立する場合は、
- 誰がいくら出資するか
- 誰が経営に参加するか
- 利益をどう分けるか
- 意思決定をどう行うか
を設立前に整理することが重要です。
株式会社には役員任期があります
株式会社の取締役には任期があります。
原則は2年ですが、株式の譲渡制限を設けている一定の株式会社では、定款によって最長10年まで伸長できます。
任期が満了した場合、同じ人が引き続き取締役を続ける場合でも、役員変更登記が必要になります。
一方、合同会社には株式会社の取締役と同じ役員制度がないため、このような取締役の任期管理はありません。
小規模会社では、この運営負担の違いも選択材料になります。
決算公告にも違いがあります
株式会社には、会社法上、決算公告の義務があります。
一方、合同会社には株式会社と同じ決算公告義務はありません。
そのため、設立費用だけでなく、設立後の会社運営も合同会社の方がシンプルになる場合があります。
ただし、どちらの会社でも、
- 法人税等の申告
- 帳簿・決算書の作成
- 社会保険
- 労働保険
など、事業内容や雇用状況に応じた手続は必要です。
「合同会社なら会社運営の手続がほとんどない」という意味ではありません。
税金だけで株式会社・合同会社を選ぶ必要はない
日本の合同会社は、アメリカのLLCとは制度が異なります。
日本の合同会社は法人として課税されるため、「合同会社にすれば利益がそのまま出資者へ帰属する」という米国型のパススルー課税ではありません。
そのため、
「税金が安そうだから合同会社」
という理由だけで会社形態を決めるのは適切ではありません。
会社の事業内容、利益、役員報酬、従業員数などによって税負担は変わるため、具体的な税務判断については税理士へ確認する必要があります。
結局、株式会社と合同会社のどちらを選べばよい?
一般的には、次のように整理できます。
株式会社を検討しやすいケース
- 将来、外部投資家から出資を受ける予定がある
- 株主と経営者を分けたい
- 株式を利用した資本政策を考えている
- 複数の株主を想定している
- 将来的な会社規模の拡大を想定している
合同会社を検討しやすいケース
- 1人または少人数で経営する
- 出資者自身が会社を経営する
- 設立時の法定費用を抑えたい
- 役員任期などの運営負担を減らしたい
- 出資者間で柔軟な利益配分をしたい
ただし、事業内容によって許認可や在留資格など別の条件が関係する場合があります。
例えば、会社設立後に、
- 建設業許可
- 宅地建物取引業免許
- 旅館業許可
- 飲食店営業許可
- 外国人経営者の「経営・管理」
などが必要になる場合は、会社形態だけでなく、資本金、役員、事業目的、事務所なども設立前に確認しておく必要があります。
会社を作る前に決めておきたいこと
株式会社・合同会社のどちらを選ぶ場合でも、少なくとも次を決めます。
- 会社名
- 本店所在地
- 事業目的
- 資本金
- 出資者
- 役員・業務執行社員
- 事業年度
- 設立予定日
- 設立後に必要な許認可
特に事業目的と資本金は、設立後に取得する許認可や在留資格に影響する場合があります。
会社を設立してから変更することもできますが、登記変更など追加の手続が必要になるため、予定している事業が決まっている場合は設立前に確認した方が効率的です。
行政書士へ会社設立を依頼する場合の料金
行政書士植松悠一郎事務所の会社設立支援の報酬は、
- 株式会社設立支援:99,000円(税込)~
- 合同会社設立支援:77,000円(税込)~
です。
行政書士報酬とは別に、
- 登録免許税
- 株式会社の定款認証手数料
- 証明書取得費用
- 司法書士へ登記申請を依頼する場合の報酬
などが必要です。
法務局への会社設立登記申請は司法書士業務です。
当事務所では、
- 株式会社・合同会社の選択
- 商号、本店、資本金等の基本事項の整理
- 事業目的の確認
- 定款作成
- 必要書類の準備
- 設立後に必要な許認可等の確認
を行い、登記については司法書士と連携して進めます。
株式会社か合同会社を決めていない段階でも相談できます
会社設立では、
会社形態を決める
↓
事業内容と必要な許認可を確認する
↓
商号・本店・事業目的・資本金等を決める
↓
定款等を作成する
↓
設立登記を行う
という順番で整理します。
行政書士植松悠一郎事務所では、
- 株式会社と合同会社のどちらにすればよいか分からない
- 資本金をいくらにすればよいか迷っている
- 定款の事業目的をどう書けばよいか分からない
- 会社設立後に許認可が必要か確認したい
- 外国人として日本で会社を設立したい
という段階からご相談いただけます。
初回相談は30分まで無料です。
