長野県の介護業界は深刻な人手不足に直面しており、外国人労働者の活躍が今後ますます求められています。外国人スタッフを採用する際には、「特定技能『介護』」という在留資格が有力な選択肢となります。本記事では、特定技能『介護』の概要、受け入れ要件、申請方法、そして特定技能からの移行方法について、施設運営者が知っておくべき情報を詳しく解説します。
特定技能「介護」の概要と特徴
特定技能「介護」は、介護業界で不足している人手を補うために2019年に創設された在留資格です。この在留資格は、介護職や看護助手として日本で働くことを目的とし、外国人労働者に対して一定の技能や日本語能力を求めます。特定技能には1号と2号がありますが、介護分野では2号は存在せず、1号のみが適用されます。
特定技能1号を取得した外国人は、一定期間働いた後に介護福祉士の資格を取得することにより、「介護」の在留資格へ移行することが可能です。これにより、長期的に介護業務に従事することができます。
特定技能「介護」の特徴
特定技能「介護」1号には、いくつかの特徴があります。これらの特徴を理解することは、外国人スタッフを受け入れる上で非常に重要です。
幅広い業務範囲
特定技能「介護」1号は、介護業務全般を担当できる資格です。例えば、入浴、食事、排せつの介助を含む身体介護や、レクリエーション実施、機能訓練の補助などを行うことができます。訪問介護業務には従事できませんが、それ以外の業務には制限が少ないため、施設内でさまざまな業務を担当できます。
1人での夜勤が可能
特定技能「介護」1号を取得した外国人は、1人体制での夜勤勤務が可能です。これは、技能実習生とは異なり、夜勤ができるという点で大きな利点です。日本人スタッフと同様の勤務体制で働いてもらうことができます。
人員配置基準にすぐ加算可能
受け入れ施設において、特定技能「介護」1号の外国人スタッフは、配属後すぐに人員配置基準に加えることができます。これにより、急な人手不足を補い、施設の運営が円滑に進むメリットがあります。
特定技能「介護」の受け入れ要件
特定技能「介護」を受け入れる事業所には、いくつかの要件が設けられています。これらの要件をクリアすることで、外国人スタッフの受け入れが可能になります。
- 介護分野の特定技能協議会に加入
受け入れ機関は、介護分野の特定技能協議会に加入する必要があります。この協議会に加入することで、施設が外国人スタッフの受け入れ体制を整えていることが確認されます。 - 従事させる業務が身体介護や付随する支援業務であること
特定技能「介護」1号を受け入れる施設で従事させる業務は、身体介護(入浴、食事、排せつの介助など)やレクリエーション実施、機能訓練の補助といった業務でなければなりません。訪問介護業務は対象外となりますので、事業所が提供する業務内容を確認することが重要です。 - 受け入れ事業所が介護業務を行っていること
受け入れ事業所は、介護業務を提供している施設である必要があります。ただし、訪問介護業務を行う事業所は対象外となるため、受け入れ可能な施設かどうかを確認することが必要です。 - 受け入れ人数が日本人等の常勤職員数を超えないこと
受け入れ人数は、事業所単位で日本人等の常勤職員数を超えてはいけません。ここで「日本人等」とは、永住者や在留資格「介護」を持つ外国人、また日本人の配偶者を指します。
特定技能「介護」1号の申請方法
特定技能「介護」を取得するためには、主に以下の4つの方法があり、それぞれの方法に基づいて申請が行われます。
介護技能評価試験に合格する
介護技能評価試験に合格し、必要な日本語能力を証明することで特定技能「介護」1号を取得できます。試験は以下の3つで構成されています。
- 介護技能評価試験
- 日本語能力試験(N4以上) または 国際交流基金日本語基礎テスト
- 介護日本語評価試験(CBT形式)
技能実習2号から移行する
介護分野で技能実習2号を修了し、特定技能1号の業務に関連性が認められれば、特定技能「介護」1号へ移行することができます。ただし、介護日本語評価試験は免除されませんので、注意が必要です。
介護福祉士養成施設を修了する
介護福祉士養成施設を修了している場合、試験免除で特定技能「介護」を取得できます。
EPA介護福祉士候補者として4年間従事する
EPA介護福祉士候補者として、4年間の就労・研修を経て、介護技術と日本語能力が十分に備わっているとみなされ、試験が免除されます。
特定技能「介護」の移行方法
特定技能2号には「介護」がありません。特定技能1号「介護」の資格で5年を経過した外国人が、さらに長期的に介護業務に従事したい場合は、介護福祉士の資格を取得することによって「介護」の在留資格に移行することができます。この移行には、以下の要件が必要です。
- 介護福祉士の資格を取得する
- 日本語能力試験N2以上に合格する
- 実務経験3年以上
これにより、特定技能「介護」から「介護」への在留資格の変更が可能となり、より長期的に介護職に従事することができます。
まとめ
特定技能「介護」1号は、介護分野で外国人スタッフを採用するための重要な選択肢です。日本の介護業界の人手不足を解消するためには、特定技能1号の受け入れ体制を整えることが必要不可欠です。受け入れ要件、申請方法、そして移行方法を正確に理解し、実施することで、施設運営が円滑に進み、質の高い介護サービスを提供できるようになります。
各種リンク
1.法律・制度関連
出入国在留管理庁:特定技能制度に関する情報
https://www.moj.go.jp/isa/
特定技能制度の概要や関連資料を提供。
厚生労働省:介護分野における外国人材の受け入れ
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000208585.html
介護分野における特定技能の詳細情報。
2.試験情報
介護技能評価試験(特定技能)公式サイト
https://careskills.jlpt.jp/
試験日程や出題範囲、試験の申し込み方法。
日本語能力試験(JLPT)公式サイト
https://www.jlpt.jp/
試験の概要や受験手続きの詳細。
国際交流基金日本語基礎テスト
https://www.jpf.go.jp/jft/
日本語基礎テストの概要や受験ガイド。
介護日本語評価試験公式サイト
https://careskills.jlpt.jp/jpe/
介護日本語評価試験の詳細。
3.移行関連
介護福祉士養成施設一覧(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000193495.html
全国の介護福祉士養成施設情報。
介護福祉士試験(公益財団法人社会福祉振興・試験センター)
https://www.sssc.or.jp/kaigo/
介護福祉士試験の受験資格や申込方法。
介護分野の特定技能協議会
https://www.care-tokuteiginou.jp/
特定技能協議会の加入情報やサポート内容。
4.関連組織
EPAに基づく介護福祉士候補者の受け入れ事業(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130692.html
EPA候補者の受け入れ状況と制度の概要。
5.実務関連
特定技能の在留資格申請手続き(入管庁)
https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/index.html
在留資格の申請書類や手続きの流れ。
外国人雇用状況届出システム(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000159890.html
外国人労働者の雇用状況届出に関する情報。
6.実例・サポート情報
公益財団法人 国際人材協力機構(JITCO)
https://www.jitco.or.jp/
外国人技能実習や特定技能の情報提供とサポート。
特定技能外国人支援サービス業者一覧(法務省)
https://www.moj.go.jp/isa/laws/hourei_supporterlist.html
支援サービス業者のリスト。
7.その他参考情報
地域別最低賃金情報(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148322.html
外国人雇用における給与の基準確認。
在留資格に関するQ&A(出入国在留管理庁)
https://www.moj.go.jp/isa/publications/materials/index.html
在留資格や特定技能に関する疑問への回答。