在留資格には就労が可能なものとそうでないものがあります。この記事では就労が可能な在留資格にはどんなものがあるのか解説していきます。
就労が可能な在留資格とは?
在留資格には、多くの種類がありますが、その内就労が可能な在留資格は、には「就労系」と「身分系」という大きく二つのカテゴリーがあります。
就労系の在留資格
就労資格には、外交、公用、教授、芸術、宗教、報道、投資・経営、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、介護、興行、技能、特定技能、技能実習、高度専門職など多数の資格があり、出入国在留管理局のウェブサイトには詳細に記載されております。
中でも特に資格別で人数が多いにはどんなものがあるのでしょう。以下をご覧ください。
出入国在留管理庁が公表した令和5年6月末時点の報道発表資料から引用
- 技能実習・・・358,159人
- 技術・人文知識・国際業務・・・346,116人
- 特定技能・・・173,101人
- 技能・・・40,631人
- 経営・管理・・・35,061人
- 高度専門職・・・20,877人
このような結果となっており、これに企業内転筋や教育などと続いていきます。
特に特定技能は、2019年にスタートした新しい資格で、当初の約1600人から大幅に伸びてきている資格となっています。さらに令和6年には、就労が認められる仕事の種類が拡大され、今後も大きく伸びていくことが見込まれています。
これら就労資格には、就労に関して細かく制限が付けられており、決められた活動内容に沿った仕事に就くことしか許されていません。
身分系の在留資格
身分系の在留資格とは、居住資格や身分または地位に基づく在留資格などとも呼ばれていて、永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者の4つの資格が定められています。
これらの資格には就労に制限がなく、日本人と同じように働くことができます。
就労できない資格
就労できない資格は、非就労系とも呼ばれていて、文化活動、短期滞在、留学、研修、短期滞在などの資格が定められています。
非就労系は、基本的には就労することができませんが、「資格外活動許可」というものを取得することができれば、その定められた範囲内で就労することが認められる例外があります。
各在留資格の詳細
それぞれの在留資格には、様々な基準などが定められています。その中でも特に申請件数の多い「技能実習」「技術・人文知識・国際業務」「特定技能」について少し詳しくみていきましょう。
技能実習
【概要】
技能実習の在留資格は、外国人労働者が日本で特定の技能や技術を学ぶために滞在するための制度です。技能実習生は、日本の企業や農家などで一定期間働きながら、その技能や技術を習得します。技能実習制度は、以下のような特徴を持っています
【要件】
- 日本国内で実施される訓練計画に基づいて技能を学ぶための技能実習生であること。
- 訓練機関や雇用先が適切な資格を持つか、または公的機関が認定したプログラムに所属していること。
- 日本での技能実習の期間が特定されており、その期間内に限って滞在すること。
など
【職種】
- 製造業: 自動車製造、機械加工、電子部品製造などの製造業における作業員や技術者として働くことがあります。
- 建設業: 建築現場や土木工事現場での建設作業員や建設機械の操作者として働くことがあります。
- 農業: 果樹園や畑での農作業、野菜や果物の収穫・加工などの農業関連の仕事があります。
- 飲食業: レストランや飲食店での調理や接客、清掃などの飲食業務があります。
- 介護業: 介護施設や老人ホームでの介護業務や看護補助、施設管理などの介護関連の仕事があります。
- ホテル・観光業: ホテルでの客室清掃やフロント業務、観光地での案内や受付業務などがあります。
など、主なものを挙げてみましたが、その他にも、多種多様な職種が認められています。
技術・人文知識・国際業務
【概要】
専門的な知識や技術を持った外国人に日本で働いてもらうことで、それらの知識・技術を国内に還元してもらうことで貢献してもらうことを目的とした在留資格です。
【許可要件】
- 経歴やスキルが十分にあること
- 受け入れ団体の経営状況が良好であること
- 日本人と同等の雇用条件
などの条件が定められています。
【職種】
通訳や語学学校の講師、機械工学の技術者、システムエンジニア、プログラマー、情報セキュリティーの技術者、デザイナー、商品開発、企画、コンサルティング、広報、マーケティング、貿易など専門的な仕事が対象です。
特定技能
【概要】
人手不足が深刻な産業分野において、専門性や技能を持つ外国人労働者を受け入れる仕組みとして設けられました。一定の技能や経験を持つ外国人材を対象としています。
【許可要件】
- 技能実習2号や技能実習3号を修了していること
- 上記以外の場合は、特定技能評価試験や日本語能力試験に合格していること
- 日本人と同等の雇用条件であること
- 外国人を支援する体制が整っていて、支援計画が適当であること
上記以外にも様々な要件が課されています。
【職種】
受け入れ可能な業界として具体的には、介護、ビルクリーニング、素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業などがあります。
まとめ
外国人が日本で働くには、決められた条件に当てはまった職業でしか就労することができません。外国人を採用する目的を具体的に見据え、その目的が達成できる在留資格の要件に適した外国人材を採用することが大切です。